パリの恋 【後編】

前編はこちら
スーツの男は僕らのテーブルまで来ると、彼女にフランス語で何かを言った。
うつむいたまま言葉を返す彼女。
そんなやりとりが何回か続いた後、男は彼女の手首をつかみ今度は強い調子で言った。
しぶしぶ立ちあがり男について行く彼女。
店を出る直前、彼女が振り返り、笑った。
寂しい笑顔だった。
彼女の後を追って店の外に出ると、黒塗りの車の前で何かを叫びながら男に抵抗している彼女の姿が見えた。
気付いたら走りだしていた。
僕は190cm、90kgの体格を勢いそのままに男にぶつけた。
学生時代アメフトで全国準優勝の僕のタックルを受けた男は、路上にふっとんだ。

僕は彼女の手を掴んで走り出した。
シャンゼリゼ通りは雨に濡れていた。
走りながらとなりを窺うと、彼女は笑っていた。


たくさんの路地を抜け、小さな公園に出たところで、彼女が僕の手を引いて言った。
「もう大丈夫」
相変わらず雨は降り続いていて僕らは大きな木の下に移った。
彼女が「キミ、勇気あるのね」と言ったかと思うと「行こう」と雨の中に飛びだしたので、僕はあわてて傘を差し出した。

「あたしがおごるから」と言って連れてこられたのはセーヌ河に浮かぶ船上レストラン。
夫がね、フランスで貿易会社をやっててね、彼には愛人が5人いてね、彼はもうわたしのことは愛してないの。でもね、彼の会社、あたしのパパの会社が得意先だからあたしと別れられないの。あたしが別れるって言ったら彼何て言ったと思う?「お金はいくらでも払うから夫婦でいてくれ」だって。あたし、頭にきて、家を飛び出しちゃった。さっきの男はね、夫の会社の秘書。このことがパパに知れたらあの人も終わりだからね。
フォアグラにフォークをブスりと突き刺しながら彼女は言った。
彼女はまだ夫を愛していたのだった。

彼女の部屋はバックパッカ―は間違っても泊まれないような超高級ホテルだった。
「先にシャワー浴びるわね、フフフ」
そう言って、彼女は浴室に消えた。
僕は、ベッドのカバーの模様を意味もなくなぞったり、スマホのモグラたたきゲームをやったり、チャックの開閉具合を何度も確かめたりして、彼女を待った。
彼女はおっぱいスケスケの黒いネグリジェで出てきて、僕の隣に座った。
「ご褒美の時間」
あのぉ。
そろそろやめていいですか、妄想。
いや、僕も頑張ったんですよ今回は。
さすがに今回も妄想はまずいだろうってことで、もっかいシャンゼリゼに行ってみたんです。
でも、結局ホームレスに「タバコくれ」って言われて終わりました。
こんなんだから5日で1位から落ちちゃうんですよね。
今1位の人、24歳の女の子ですからね。
結構カワイイですからね。
「恋する咲ログ」ですからね。
こっちは30歳のおっさんが書く
「妄想するキチガイのブログ」
ですからね。
明日パリを出ます。
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